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OJTを機能させる5つのポイント:指導担当者が迷わない育成の進め方
教育・研修

OJTを機能させる5つのポイント:指導担当者が迷わない育成の進め方

「新人を先輩に任せているが、うまく育っている気がしない」「OJTをやってはいるが、指導担当者によって教え方がバラバラ」「教える側も忙しくて、教育に時間を取れていない」——中小企業の経営者・管理職からよく聞こえてくる声です。


OJT(On the Job Training)は、業務をしながら実践的なスキルを身につけさせる教育手法であり、中小企業における人材育成の中心的な方法です。しかし、「とりあえず先輩の隣に座らせる」だけでは、OJTとは言えません。


本記事では、OJTがうまくいかない会社に共通する問題と、指導担当者が迷わず動ける育成の仕組みを5つのポイントで解説します。


職場でメンタリングをする先輩と新人社員

なぜOJTはうまくいかないのか:3つの根本原因

OJTが機能しない理由は、ほぼ決まっています。次の3つが重なると、育成は形骸化します。

  • ①ゴールが不明確:「何ができるようになれば一人前か」が共有されていない。指導する側も、される側も、どこに向かっているのかわからない状態です。
  • ②任せっぱなし:「仕事を一緒にやっていれば自然に覚える」という思い込みがある。意図的に教える場面を設計しないと、経験が積み重なるだけで学びにはなりません。
  • ③指導担当者に負担が集中:教える側に明確な役割・やり方が伝わっておらず、「自分のやり方」で教えるしかない。これが担当者ごとのばらつきを生みます。

これらを解消するには、OJTを「属人的な経験の伝承」から「仕組みによる育成」に切り替える必要があります。以下の5つのポイントがその出発点になります。


ポイント1:「ゴール設定」を最初に共有する

OJT開始前に、「いつまでに・何ができる状態になるか」を指導担当者と新人の両方が把握していることが大前提です。


おすすめは、習得すべきスキルを3段階で整理することです。

  • レベル1(1ヶ月以内):基本業務を手順書通りにできる
  • レベル2(3ヶ月以内):イレギュラーが起きたとき、自分で判断できる
  • レベル3(6ヶ月以内):後輩に教えられる水準になる

この「習得ロードマップ」を1枚の紙にまとめ、最初の面談で共有します。これだけで、「なんとなく一緒に仕事している状態」から「目標に向かって育成している状態」に変わります。


チェックポイント:OJT開始時に確認すること

  • 育成ゴール(3段階のスキルマップ)を作成し、共有したか
  • 指導担当者と新人が同じゴールを認識しているか
  • 6ヶ月後のチェックアップ面談の日程を入れたか

ポイント2:指導担当者の「役割と権限」を明確にする

多くの中小企業では、「指導担当者=現場の先輩」という設定だけが決まっていて、何をどこまでやればいいかが不明確です。その結果、熱心な先輩は抱え込みすぎ、忙しい先輩は任せっぱなしになります。


指導担当者に事前に伝えるべきことを明文化しましょう。

  • 仕事の範囲:日常的な仕事の指導・フィードバックを担当する(採用・評価は上司の役割)
  • 時間の目安:1日のうちOJTに使う時間は30分〜1時間を目安にする
  • 判断できないことは上に上げる:ハラスメントや深刻な悩みは上司に報告する
  • 指導担当者自身の評価:新人の成長を指導担当者の評価項目の1つにする(やる気が変わります)

「あなたに任せた」ではなく「これをお願いしている」と明確にするだけで、担当者の動きは変わります。


ポイント3:「育成計画シート」で週次の流れを作る

OJTに計画がないと、指導が場当たり的になります。忙しい日は教えられない、暇な日は何をさせればいいかわからない、という状態になります。


シンプルな育成計画シートを用意しましょう。Excelや紙でも構いません。

育成計画シートの項目例(週次)

  • 今週習得する業務(例:受注入力・発注メール・在庫確認)
  • 担当する作業の難易度(①見て学ぶ ②一緒にやる ③一人でやってみる)
  • 週末の振り返りポイント(できたこと・できなかったこと)
  • 来週の目標(今週できなかったことの再挑戦 or 次のステップへ)

この計画シートを使うと、月曜日の朝に「今週はこれを覚えてもらいますね」と話すだけでOJTが始まります。指導担当者が「何を教えればいいか」で悩む時間がゼロになります。


チームで資料を確認しながら育成計画を立てる様子

ポイント4:「フィードバック」のやり方を統一する

フィードバックは育成の核心ですが、やり方を知らないまま指導担当者に任せると、詰めるだけになったり、逆に何も言えなくなったりします。


中小企業のOJTで使いやすいフィードバックの型として「SBI型」があります。

  • S(Situation・状況):「今日の午後の電話対応のときなんだけど」
  • B(Behavior・行動):「お客様の会社名を確認せずに話を進めたよね」
  • I(Impact・影響):「後から確認が必要になって、相手に手間をかけてしまった」

これに「次はこうしてほしい」を加えるだけで、建設的なフィードバックになります。感情的な指摘や漠然とした「もっと丁寧に」ではなく、具体的な行動に焦点を当てることがポイントです。


また、ポジティブなフィードバックも同じくらい重要です。「さっきのメール対応、返信が早くて丁寧でよかった」と具体的に伝えることで、新人は「何が正解か」を学びます。


フィードバック頻度の目安

  • 毎日:短い声かけ(良かった点1つ・改善点1つ)を5分以内で
  • 週1回:育成計画シートを見ながら15〜20分の振り返り
  • 月1回:上司も交えて1ヶ月の成長を確認・次のゴール設定

ポイント5:「成長の見える化」で継続させる

OJTは長期戦です。3ヶ月・6ヶ月と続けていく中で、新人も指導担当者も「成果が見えない」とモチベーションが下がります。成長を見える化する仕組みを入れましょう。


最もシンプルな方法は、「できること一覧チェックリスト」です。

  • 習得すべき業務を一覧にしたチェックリストを最初から用意する
  • 週ごとにチェックを入れていく
  • 月末に「先月は0個だったのに今月は15個にチェックが入った」と振り返る

このチェックリストは、新人の自信にもなります。「自分はこれだけできるようになった」という事実が、仕事への意欲を高めます。


さらに一歩進める場合は、成長記録を簡単なノートやスプレッドシートにつけてもらいましょう。「今日学んだこと・できたこと・疑問点」を毎日3行書くだけで、振り返りの質が大きく変わります。指導担当者もその記録を見て、次の指導テーマを考えやすくなります。


指導担当者が「育てることで成長する」文化を作る

OJTの仕組みが整ってくると、面白い変化が起きます。教える側も成長するのです。


「人に教えるためには、自分がしっかり理解していなければならない」——これはラーニングピラミッドでも証明されていることで、「人に教える」行為は記憶定着率が最も高い学習方法の一つです。


指導担当者を選ぶ際は、「できるベテラン」だけでなく、「入社2〜3年目の中堅社員」にも積極的に任せましょう。彼らは「自分が新人だったときのことを覚えている」ため、新人の気持ちに寄り添った指導ができます。また、指導担当者として育成に関わることで、彼ら自身のリーダーシップも育ちます。


OJT制度設計チェックリスト(まとめ)

  • □ 習得ロードマップ(3段階スキルマップ)を用意している
  • □ 指導担当者の役割・権限・時間目安を文書化している
  • □ 週次の育成計画シートを運用している
  • □ フィードバックの型(SBI型など)を指導担当者に共有している
  • □ できること一覧チェックリストで成長を見える化している
  • □ 月1回、上司も交えた振り返り面談を設けている

まとめ:OJTは「仕組み」で機能させる

OJTがうまくいかない最大の理由は、「人に頼りすぎること」です。優秀な先輩が丁寧に教えてくれれば育つかもしれませんが、それは再現性がありません。忙しい会社でも、指導担当者が変わっても、新人がどんどん入ってきても、同じように育てられる仕組みが必要です。


本記事で紹介した5つのポイント——ゴール設定・担当者の役割明確化・育成計画シート・フィードバックの型・成長の見える化——は、いずれも今日から始められる内容です。一度に全部やる必要はありません。まず「ゴールを紙に書いて共有する」だけでも、OJTの質は大きく変わります。



Delphi Growthでは、中小企業の教育・育成の仕組みづくりを支援しています。「OJTを整備したい」「育成計画の作り方がわからない」という方は、無料相談でお気軽にご相談ください。

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