中途採用の人がすぐ辞める会社に共通する「最初の1週間」の過ごさせ方
採用にかけた時間とコストが水の泡になる——中途採用者の早期離職ほど、中小企業にとって痛いものはありません。
求人サイトに掲載して、応募者と何度も面接して、やっと「この人だ」と思って入社してもらったのに、3ヶ月で「すみません、合わないみたいで……」と辞めていく。
「うちには合わなかったんだな」で済ませていませんか。
でも実は、辞める原因の多くは「合わなかった」のではなく、入社後の最初の1週間で「ここでやっていけるだろうか」と不安になったことにあります。
中途だからこそ「放置」されやすい
新卒採用なら、入社式があって、研修があって、配属前にそれなりの準備期間がある。
でも中途採用は違います。「即戦力」として期待されているから、入社初日からいきなり現場に放り込まれることが多い。
「前職で経験があるんだから、見れば分かるでしょ」
「分からないことがあったら聞いてね」
これだけ言って、あとは自席に座らせる。
中途入社の人の気持ちを想像してみてください。
知らない会社に来て、周りは全員知らない人。社内のルールも文化も分からない。
誰に何を聞けばいいかすら分からない。
でも「即戦力」と期待されているから、「分かりません」とは言いにくい。
この孤立感が、早期離職の最大の原因です。
最初の1週間で伝えるべきこと
中途社員の受け入れで最も大事なのは、入社後1週間の過ごし方を事前に設計しておくことです。
特別なプログラムは不要。以下のことを伝えるだけで、不安はかなり軽減されます。
初日に伝えること:
- 会社の基本ルール(勤務時間、休憩、服装、備品の使い方)
- 困ったときに聞く人を1人決めて紹介する(「分からないことは○○さんに聞いてください」)
- 最初の1週間で「ここまでやってもらいたい」のゴールを伝える
- 社内システムのアカウント設定、メール設定を一緒にやる
2〜3日目に伝えること:
- 部署内の主要業務の流れ(概要だけでいい)
- よく使うファイルやツールの場所
- 社内の暗黙のルール(「朝礼は5分前に集合」「この会議は重要」など)
4〜5日目にやること:
- 上司または受け入れ担当者と15分の面談(「困っていることはありませんか?」と聞く)
- 2週目以降の業務計画を共有する
ポイントは、「聞いてね」ではなく「こちらから伝える」姿勢を見せること。
中途だからといって、「自分で調べて当然」と思わないことが大事です。
「何でも聞いて」は機能しない理由
「分からないことがあったら何でも聞いてね」は、親切なようで実は不親切です。
中途社員にとって、「何を聞けばいいか分からない」のが一番困るんです。
全体像が分かっていないから、自分が何を知らないのかすら分からない。
「何でも」と言われると、逆に何も聞けなくなります。
だから、受け入れ側から先に情報を出す。
「ここに資料があります」「この人に聞けば早いです」「このルールは知っておいてください」
先回りして教えることで、「聞いていいんだ」「ここは親切にしてくれる会社だ」と安心できます。
ランチを一緒に食べるだけで変わる
地味ですが、効果が大きいのが「最初の1週間は誰かとランチに行く」ことです。
毎日違うメンバーとランチに行くと、自然と社内の人間関係が見えてきます。
「営業の佐藤さんは話しやすいな」「経理の山田さんはこういうことに詳しいんだな」
仕事の話だけでなく、人柄が分かる。これが「ここでやっていける」という実感につながります。
受け入れ担当者が「今日は○○さんとランチ行ってきて」と段取りしておくだけでいい。
費用は会社が出すと、さらに効果的です(1人500円のランチ代で離職を防げるなら、安い投資です)。
1ヶ月後の面談で「入ってよかった」を確認する
入社1ヶ月後に、上司と30分の面談をしてください。
聞くことは3つだけです。
- 今の業務で困っていることはありますか?
- 入社前のイメージと違ったことはありますか?
- こうしてほしい、ということはありますか?
ここで出てきた不満や違和感は、早期に対処できれば離職を防げます。
逆に、1ヶ月間何もフォローしないと、不満が蓄積されて「もう手遅れ」になる。
面談で「入ってよかったです」と言ってもらえたら、受け入れは成功です。
「まだ慣れません」と言われたら、何が原因かを一緒に考える。
大事なのは、「気にかけている」という姿勢を見せることです。
受け入れ体制は「採用の一部」
採用活動は内定を出して終わりではありません。
入社後の受け入れまでが採用です。
良い人材を採用するのは難しい。だからこそ、採用した人に長く活躍してもらう仕組みが必要です。
受け入れ体制の整備は、採用コストを回収するための最も確実な投資です。
まずは次の中途入社者のために、「最初の1週間スケジュール」をA4一枚で作ってみてください。
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